第四幕独立宣言文

かわらない建築に対するおもい・・・ささやかな"小"の叛骨心

 建築一家を創設して15年の時が過ぎました。そしてこの間に50件余の建物に関わって参りました。どの建物も私にとってはかけがえの無いとても大切なプロジェクトです。大規模であれ小規模であれ内容問わず関わった責任を今でも感じております。僭越ながら求められた要望、期待に何とか応えてこられたと自負しております。これも関係したクライアントはいうまでもなく建築をつくることに携わった全ての方々のお陰であり深く感謝を申し上げたいと思います。改めて御礼申し上げます"ありがとうございます"

ささやかな"小"の力、建築をつくること"建築力"を信じて

 残念ながら社会が建築を求めていなければ建築をつくる必要もありません。独立後(この間)、複数のクライアント、行政も含め「申し訳ないけど建築一家ほど建物に愛情はない」と言われたことがあります。一生懸命つくろうとしていること、頑張ることが迷惑ですか?社会からの必要性があって初めて成立し得るのが建築である以上否定も肯定もできませんが辛いお言葉として記憶に刻まれております。価値観、目的の食い違いも現実であることを受け止めたいと思います。それでも、間違いなく私どもを必要として下さる方々はいる事を信じ限られた能力を精一杯捧げる覚悟です。人口の自然減の時代に建築をつくることが全てとは思いませんが、建築と真摯に向き合う志は失いたくないと思っております。日本社会(設計力の理解度不足)においては未だに建築設計者は少数派民族かも知れませんが ささやかな"小"の反骨新、これからも社会に対し建築に関わる者として"建築力""建築の責任"にかけてみたいと考えます。

建築家(設計者)の使命=それは"プロジェクトをデザインすること"・・・改めて目指します

  1. 設計能力(提案力)の向上
    〜複雑多岐にわたる諸条件、クライアントの要望に対し最良の提案と設計を行うこと。
    =高い知識・情報力・技術力・理解力・創造力・社会力・常に諦めない"志"
  2. マネージメント能力の向上
    〜建物をつくる上で設計行為以前(設計より重要と考えます)を含め全てにおける構想、調整等の統制が図れること。=プロジェクトの中心(要)を果たす.
    〜行政、施工者に対する交渉力、折衝力、説明力、判断力があること。
    =クライアントの代理である
  3. コミュニケーション能力の向上(厳しさと配慮・謙虚さ)
    〜クライアント・事業主体者、設計者、施工者の目的意識の共有、協調性を構築すると。
    =真摯且つ謙虚な"調整役"

 建築家の使命は"プロジェクトをデザインすること"と考えます。常日頃の探究心と洞察力、強い意志のもとでの提案、創作と共に、社会観を持ち重責を担うこと。関わる方々全てに対する心遣いを失うこと無く精進したいと思います。

建築の設計をする=それは"可能性の追求"そして"社会の財産"を残すこと

 建築一家の理念は、私どもを必要として下さるすべての方々に設計行為を通じて労を惜しむことなく最大限尽力することです。そして、理念と理想を失うことなく建物が果たす社会的意義を問い続けることであります。"可能性"とは排除することではなく、あらゆる視点からの飽くなき追求と考えております。設計者の職能は、一般論で申し上げればクライアントの要望に確実に解答していくことにより最低限の役割を果たせるかかもしれませんが、ただ単に模範解答(設計製図作業)ではなく常日頃の経験で養われた知的創造力の集積のもとに建物固有の設計の解答は何か?提案を諦めないこと、自問自答を繰り返しながらも完成するまで最後の最後まで可能性を追求することであると信じております。建物完成後も存在する限り関わらせて頂きたく存じます。楽なことではありませんが・・・現実、光栄なことに建築一家にとり建物完成後も設計行為は継続されている気がしております。今を生きている者として、ご縁があって設計という大役を担っておりますが建築の存続時間と責任を考えますと、歴史においてつかの間かもしれませんが、より強くよりやさしく、謙虚に社会とともに時代のひとときを担い将来にバトンを渡す職務を全う出来るよう心折れること無くより一層邁進致す所存であります。 主役は"人"建築は社会の主役ではありません、目立つ必要などありませんが"建築は社会の財産"と信じております。

2016.12月吉日 第4幕 "建築一家"